三里塚1972
70年代初頭の三里塚・成田闘争は農民、労働者、学生が < 土地は明け渡さない! > と血の滾るような徹底した抵抗をした。目の前で野良衣姿の農婦が、そぼ降る雨の中、泥塗れになり太い杭に躯を番線でぐるぐる捲きに縛り付けている。対し機動隊は遠慮容赦なく引っ剥がす。念わずシャッターを切るのも忘れ、ヤメロ!と怒鳴っていた。闘争が始まり43年経った今も空港路に一軒の土地が係争を二代に渉り続けている。土地に対する人々の人間の奥底の強さに、人と云う実存の果てしなさを念わされる。
沖縄嘉手納基地を飛び立ったB52が北ヴェトナムに向け北爆を繰り返し、ビートルズが解散し、ミック・ジャガーがハイドパークで独特の上唇を捲り上げ跳ねていた。学生を始め青年達は社会との係りに実に行動的であった。体制派に対し如何に反体制であることを認識するか。<怒れる若者>を意識下の糧としていた。勝手な想像ではあるが、72年沖縄返還を控え、国は成田を自衛隊の基地、羽田を民間空港と、決して表に出ることのない底意があったのではないか…。
時は移り、青年達は今 何を考えているのだろう。此の先 憲法九条を命題に青年達は如何なる理力を以て行動するのだろう。
― 加納典明「三里塚1972」より
$32.70
税込- 判型
- 257 x 182 mm
- 頁数
- 144頁、掲載作品131点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行日
- 2015
- 言語
- 英語、日本語