本作『Peacock Tail』は、ポーランド出身のパヴェウ・ヤシュチュクが初期の代表作『Kinky City』で取り上げた東京のアンダーグラウンド・シーンを新たな視点で撮影した最新作である。

疲れ果てたサラリーマンが東京のビジネス街の路上で眠りこけている一方で、街の別の側面は目覚めつつある。新宿ではLGBTQ+のナイトクラブや伝説的なデパートメントHのパーティーの活気あるシーンで、アニメのキャラクター、色とりどりの服を着たディーバなど、境界を押し広げるアイデンティティが生き生きと輝いている。ここでは社会の日中の制限が解かれ、人々は一晩の自由のために本当の自分を見せる。もしかしたら、大胆にもプリンセスに扮した男たちの何人かは、別の夜、隣の通りで倒れているサラリーマンそのものなのかもしれない。
『Peacock Tail』でパヴェウ・ヤシュチュクは再び東京のナイトライフを案内し、人間の表現とアイデンティティの探求の新たな豊かなレイヤーを、裁くことなく、ただ驚きを持って表現している。

Artist Profile

パヴェウ・ヤシュチュク

1978年ポーランド・ワルシャワ生まれ。2004年にシドニーのスクール・オブ・ビジュアル・アーツから卒業。オーストラリアと日本で生活した後、2012年、10年以上離れていたポーランドに帰国。以降、ワルシャワで活動している。