ストリートスナップの名手である星玄人の3作目の写真集。2000年前後のこの時代、カメラを手に新宿へ通うことが多かった星は、街の懐の深さや人の優しさ温かさに心地よさを感じ、気がつけば新宿が自身の居場所となっていた。しかし、時代の流れとともに街のあり様も変化し、自身と街との間に距離ができた今、過去に新宿を撮影したモノクロームのネガを改めて見直し、未発表の作品を含む「あの頃」の新宿の記録を再編成した。編集を蒼穹舎の大田通貴が手がけている。

「今ではほとんど新宿を訪れる機会は無くなってしまったが、たまに用事のついでで歌舞伎町を無目的に歩く時がある。通る人達を眺めていると、ふと気になる人物や状況に足が止まる。だが以前のようにカメラを向ける事はない。街は大勢の人で賑わっているようだが、身を置いて居るだけで気持ちが高揚していたあの頃の夜はもう遠い日の出来事のようだ。今はそんな新宿と自分との距離に安堵感すら覚えている。だが、どんなに人や街が、自分が変わったとしても、きっとこの街の何処かから染みだして来るであろう「人が生きる力」に強く引き寄せられる日が、何時かまた来るような気がしてならない。」
― 星玄人(本書あとがきより)

-判型
200 × 200 mm
-頁数
120頁、掲載作品:117点
-製本
ハードカバー
-発行年
2024
-言語
英語、日本語
-エディション
700
-ISBN
978-4-910244-38-9

Artist Profile

星玄人

1970年、神奈川県生まれ。1990年代後半の写真を始めた当初から一貫して繁華街の路地など、ストリート・フォトを中心に発表している。現在は六本木、横浜、大阪の西成などで主に撮影を行なっている。2017年にLittle Big Manより刊行した写真集『口笛』にて2018年に写真の会賞受賞。2023年には東京都写真美術館で開催された「日本の新進作家 Vol.20 見るまえに跳べ」に選出され、それまでの活動を振り返る形で新作を含む全てのシリーズを展示した。写真集に『街の火』(2007年、ガレリアQ)、『口笛』(2017年、Little Big Man)、『新宿 1999-2008』(2024年、禅フォトギャラリー)がある。清里フォトアートミュージアム、東京都写真美術館に作品が収蔵されている。

Gallery Exhibitions