丹野章(1925年〜2015年)は、佐藤明、川田喜久治、東松照明、奈良原一高、細江英公が参加した伝説的な写真家集団「ViVO」のメンバーとして、また、写真の著作権問題、反核、日本国憲法などさまざまな政治・社会的テーマにまつわる写真運動を立ち上げ、戦後日本の写真界を躍動させた写真家として広く知られる存在です。

本書は、1956年から1957年までの短い期間に集中して撮られた初期のシリーズ「昭和曲馬団(通称:サーカス)」をまとめたもの。サーカスは(依頼を受けて撮るようになったステージ写真とは異なり)丹野自身が選び取った数少ない初期のモチーフのひとつであり、1957年の第一回「10人の眼」展で発表され、その後の丹野の飛躍を予期するものとしても大変貴重な作品群です。終戦から11年経ったある日、サーカスを見かけノスタルジーに打たれた丹野は「これは僕が撮らなければ!」とサーカス小屋に足しげく通い、戦前の姿のまま蘇ったサーカスを、子どもの頃の憶い出をなぞるようにカメラに収めていきました。そのイメージは、終戦後の混沌期から高度経済成長期へと流れ込む当時の時代性を、リアリズム写真運動と異なるかたちで反映しているものとして、また、後にViVOのメンバーが先導する主観的(または私的)写真表現のひとつの萌芽として、日本の戦後写真に対する新鮮な視点を与えてくれることでしょう。

― 出版社説明文より

Artist Profile

丹野章

丹野章(1925年〜2015年)は、佐藤明、川田喜久治、東松照明、奈良原一高、細江英公が参加した伝説的な写真家集団「ViVO」のメンバーとして、また、写真の著作権問題、反核、日本国憲法などさまざまな政治・社会的テーマにまつわる写真運動を立ち上げ、戦後日本の写真界を躍動させた写真家として広く知られる存在です。

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