週間グラフ誌『アサヒグラフ』より、橋本照嵩が撮影した瞽女の掲載ページを抜粋した復刻版。1970年5月8日号掲載「盲目の歌女・瞽女」と、1973年10月26日号、同11月2日号、同9日号、同16日号連載「瞽女の四季」の計5号分を1冊にまとめ、復刻に際し掲載テキストの英訳と長谷川宏による論考「瞽女の旅」を新たに追加した。

瞽女は近代では新潟県を中心に各地方を巡った盲目の女性旅芸人で、日中は農家を訪ね、門口で三味線を弾きながら短い唄を唄い、夜には長めの物語を弾き語って集まった村人に聴かせ、その対価として米や作物やお金を得ていた。工業化と都市部の発展が進んだ1970年代前半当時、農業とそれに従じる地方人口は急激に減少し、その影響が瞽女の生活を直撃した結果、橋本照嵩が後を追ってカメラに収めたこの3人の老いた瞽女がその最後の存在となった。

「寒い日も暑い日も、降っても照っても風が強くても、旅は続けなければならない。となれば、頭の上に大きな菅笠をかぶり、顔と首を手拭いで覆い、着物は紺絣にもんぺ、前掛をつけ、足は地下足袋かゴムの長靴、というのが基本の旅姿となる。変わることのないそういう旅装のもと、瞽女たちは変わることのない一列縦隊で村を行く。盲目の旅芸人の旅なるがゆえに、かの女たちはそのような制約のもとに生きていくのだが、変わらぬ旅装、変わらぬ一列縦隊という制約の厳しさがかえってかの女たちの生きかたに輝きをあたえる。これほどに生きるひたむきさ、生きる確かさを伝える図像はそうあるものではない。いついかなる時でも大地をしっかりと踏みしめて前へと進む確かな足取りが、生きる意志の強さを感じさせるのだ。」- 長谷川宏「瞽女の旅」より

判型
343 × 263 mm
頁数
72頁
製本
ソフトカバー
発行年
2019
言語
英語、日本語
エディション
700
ISBN
978-4-905453-89-5

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