2017年に山本雅紀が発表した1作目の写真集『我が家』では、同居する自らの家族の日常を赤裸々に写したユニークな山本の作風が海外で好評を博し、The New Yorkerなどのメディアに取り上げられ一大センセーションを巻き起こした。2018年のParis Photo-Aperture PhotoBook Awardsにおいて、First PhotoBook部門で最終候補となり、その後程なく写真集は完売、続編が待たれる中、満を辞して本作『我が家2』が完成した。続編の『我が家2』は山本家が小さな文化住宅から一軒家へ引っ越した後に撮影された写真で構成されているが、愛とハプニングが溢れる山本家の情景は前作と通底しており、山本にしか写せない彼らのありのままの姿は見る者を魅了してやまない。

『我が家2』は2017年に一軒家へ引越してからの家族を撮影したものです。
写真集を出版するにあたって家族に写真を見てもらうと「引越す前のアパートと同じやん!」「この散らかった写真のどこが良いのかさっぱりわからん!」と言われます。
庭では母がハーブを育て、それぞれが部屋を持ち、トイレにはウォシュレットが付いている。そんな広くて綺麗な一軒家は私たちにとって夢そのものであり、妹曰く、解放でもありました。それが以前のボロボロのアパートで撮られた写真と変わり映えしないのは、新しい棲家を得た山本家という生き物の習性のようなものが、そこにはあるからだと思います。
いつも外で通り過ぎる家の中にもそれぞれ独自の世界が秘められていて、その片隅に山本家もあります。山本家の生態や生活を「これが私の家族だ」と自らのルーツとして再認識したものが前作『我が家』であり、その舞台を一軒家に、新しい環境のなかでもう一度家族を見つめたものを『我が家2』としてまとめました。山本家の写真を見た人が、その人自身の家族や家族観と向き合うような作品になればと思います。
― 山本雅紀

― 出版社説明文より

-判型
200 × 200 mm
-頁数
132頁、掲載作品:114点
-製本
ハードカバー
-発行年
2023
-言語
英語、日本語
-エディション
700
-ISBN
978-4-910244-24-2

Artist Profile

山本雅紀

1989年、兵庫県生まれ。2012年、日本写真映像専門学校卒業。2015年、新宿・大阪ニコンサロンにて開催した個展「山本家」にてニコンサロンJuna21写真展年度賞「三木淳賞奨励賞」を受賞。また翌年の2016年には「I’m home」にてThe Editor’s Photo Award ZOOMS JAPAN 2016 エディター賞を受賞。同年禪フォトギャラリーにて開催したグループ展「Three and Eight」に参加し、蛇腹式ポスター『ハラワタ/ Guts』を刊行。2017年、禅フォトギャラリーより初写真集『我が家』を刊行し、パリのMind’s Eye - Adrian Bondy Galleryにて個展を開催。同じくパリのヨーロッパ写真美術館に作品が収蔵された。また、清里フォトアートミュージアム主催のヤング・ポートフォリオでは、2017年、2021年、2022年に入選し作品が収蔵されている。2022年にはイスラエル・ヘルツリーヤにあるテオ・アート・センターにて開催された日本とイスラエルの写真家15名によるグループ展「Inside Out」に出品するなど、国際的に活動している。