2011年2月雪の日、荒川に沿って歩く。
しばらくすると、ある一帯に小屋が点在していた。
それは一つの集落を形成しているかのようだ。
雪が吹雪くのと相まって、幻想的な光景に魅了される。
小屋に住む人々はどんな人達だろう。
最初はそういう興味本位だった。
再び訪れて今度は実際に話しかけてみる。
みんな気の優しい人達ばかりで私を温かく迎えてくれた。
彼らはとても感性豊かで人間味に溢れていた。
私は彼らやこの土地の事など、もっと知りたくなった。
それから荒川に通っては彼らと語り合い、時には酒を酌み交わした。
取り巻く環境も少しずつ変わってきた。
近い将来この場所もなくなってしまうかもしれない。
それでも目の前の1日を大切に生きようとする有り様はとても格好良い。
この作品は日々の流れに身を任せながらも懸命に生きる人々の記録。
これからも彼らの行く末を見届けていきたい。

— 作者あとがきより

Artist Profile

平良博義

1987年東京都生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業。フリーランスの写真家として活動し、荒川河川敷で暮らす人々や、自身のルーツである沖縄県宮古島など、個人的な記憶や土地とのつながりを軸に長期的な撮影を続けている。近年は、徳島と東京・高円寺の阿波踊りを撮影した「ぞめき」に取り組んでいる。

近年は、徳島と東京・高円寺の阿波踊りを撮影した「ぞめき」に取り組んでいる。2011年に高円寺の阿波踊りに出会い、太鼓や鉦の強烈な響きと踊りの熱気に惹かれたことをきっかけに撮影を始めた。その後、阿波踊りが死者を弔い、残された人々の想いを受け継ぐ場でもあることを知り、「ぞめき」を通して、記憶や死、人と人とのつながりが音や身体の動きによってどのように受け継がれていくのかを見つめている。同作はLimelight 2024 Under40部門グランプリを受賞し、2025年にギャラリー・ニエプスより写真集として刊行された。2026年にはKG+SELECTに選出された。