フィリピン・マニラ出身の写真家ブライアン・セルジオの二冊目の写真集『A Bastard Son(父無し子)』は、彼のいる環境で周縁化された無法者に焦点を当てている。

社会に見放されている若年母やストリートチルドレンと無法地帯は、ごく普通の現実の一部となっている。他者を通じて自分を見つけ出しているブライアンは、実は自分の存在も「父無し子」のように感じている。何故なら、フィリピンの現実をそのまま映し出している彼の作品は地元の人にはあまり好かれていないからだ。

ブライアンが撮影し続けているのは、ただ自分の周りに起きている全てと彼の思いを世の中に共有したいからだ。前作の『PAK!』とテーマは大きく変わっていないが、『A Bastard Son』は自分の周りの環境を強く意識し、誠意を持って撮影した更なる成熟を遂げた作品になっている。

― 出版社説明文より

判型
225 × 310 mm
頁数
96頁、掲載作品85点
製本
ハードカバー
発行年
2018
言語
英語、日本語
エディション
500

Artist Profile

Brian SERGIO

ブライアン・セルジオは1980年フィリピン生まれの写真家、画家、グラフィックデザイナーである。2002年にフィリピン大学カレッジ・オブ・ファイン・アーツにて絵画を学ぶ。画家と概念芸術家として教育を受け、2000年から2008年にかけていくつかの展示に参加しながら、グラフィックデザイナーやアートディレクターとして広告会社で働き、その後、写真家として活動を始める。写真家として開かれた個展ではケソンのWest Galleryで開催された”Kidultery” (2011)、マカティのGalerie Astraで開催された”Pak!” (2014)等がある。

セルジオの作品はよく「生々しい」、「罪深い」、「不遜」等の言葉で表現される。力強さと動きを前面に出し常に思い切って状況に入り込み、流れに身を任せるのは彼の手法だ。

2017年には彼にとって初となる写真集”Pak”をDienacht Publishingより刊行。本は社会的抑圧と期待に対する集団反乱であり、多くのフィリピン人が望むうわべの裏の世界を晒す作品である。

セルジオは現在フィリピンのマニラに在住し、活動している。