倉田精二のヌード作品は、80年代後半に雑誌『写真時代』と『写真世界』において「ヒューマニズム東京」というタイトルで連載され、後にその中からイメージを厳選しまとめたものが写真集『クエスト・フォー・エロス』として1999年に刊行された。Zen Foto Galleryは倉田と新たなヌード作品集制作のための協議をここ数年の間重ねてきた。そしてこの度完成した『Eros Lost』には、倉田の承認のもと、オリジナルのネガアルバムから選ばれた未発表のイメージが含まれている。これまでに発表された彼の他のシリーズとは異なり、これらのイメージは照明とスクリプトの下で主に屋内で撮影された。倉田は、機械的なインスタレーション、演劇的パフォーマンス、オブジェ、室内装飾を組み合わせて、人間のポートレートを実験的な彫刻を作るように制作した。裸体と身体の動き、そしてそれらを突き動かすエネルギーのダイナミズムがイメージ内に描かれている。

2020年2月、倉田精二は逝去した。40年以上のキャリアを持った倉田は、その間カメラと対話し続けた。彼の作品は、彼の主題の概念とイメージを作り出す技術の両方への彼の継続的な探求により高く評価されている。倉田精二の人生の旅は東京から始まった。彼のスピリットが歩んできた写真の道は、私たちの感覚を研ぎ澄まし、私たちの認識を拡大し続けている。『Eros Lost』の出版に際し、Zen Foto Galleryは彼の生涯の素晴らしい作品に心からの敬意を表し、この本を彼の思い出に捧げる。

― 出版社説明文より

- 判型
245 × 185 mm
- 頁数
208頁、掲載作品79点
- 製本
ハードカバー
- 発行年
2020
- 言語
英語
- エディション
1000

Artist Profile

倉田精二

1945年 東京・日本橋生まれ。1974年、東松照明が中心となって開講されたワークショップ写真学校の第1期生として写真を学ぶ。1976年、東京芸術大学絵画科卒業。1980年に「ストリートフォトランダム東京 1975-79」にて第5回木村伊兵衛賞を受賞。以降、長年にわたり国内外で精力的に活動し、近年では2017年「Autophoto」Fondation Cartier pour l'art contemporain(パリ、フランス)や2018年「Another Kind of Life: Photography on the Margins」Barbican Art Gallery(ロンドン、イギリス)などの国際的なグループ展にも参加した。代表的な作品集に『FLASH UP』(1980年、白夜書房)、『フォト・キャバレー』(1982年、白夜書房)、『大亜細亜』(1990年、IPC)、『'80s FAMILY』(1991年、JICC)、『ジャパン』(1998年、新潮社)、『Quest For Eros』(1999年、新潮社)、『FLASH UP』(新装版、2013年、 禅フォトギャラリー)、『Eros Lost』(2020年、禅フォトギャラリー)などがある。2020年2月27日逝去。

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