フィリピン・マニラ出身の写真家ブライアン・セルジオによる『Lost and Found』は、作家が自らセレクトと編集を手掛けた、初のカラー写真集である。
パンデミック時期から、オンラインのセックスワーカーとの「オープンな関係」により、性産業文化全体が孕む矛盾と複雑さ、その曖昧な魅力に惹かれつつも、ブライアンは次第に創作意欲の枯渇を自覚するようになった。そこから抜け出そうとした彼は、その後訪れる様々な不幸の余波の中で、写真日記を撮り続けていた。そこで生まれた写真は、いずれも普段の自分から乖離した、繊細かつ鮮やかな無意識の産物である。それらは「Lost」と「Found」の狭間を漂いながら、彼を精神的故郷へと導いていく。

「それは潜在意識への旅であり、今でもなじみのある場所に私を連れ戻してくれた。無視してきた、あるいはただ見ていなかった過去のありふれたディテール。それは故郷であり、思いこがれながらも忘れていた場所だった。」

― ブライアン・セルジオ(本書まえがきより)

― 出版社説明文より

- 判型
200 × 200 mm
- 頁数
120頁、掲載作品68点
- 製本
ハードカバー
- 発行年
2025
- 言語
英語、日本語
- エディション
500
- ISBN
978-4-910244-49-5

Artist Profile

Brian SERGIO

ブライアン・セルジオは1980年フィリピン生まれの写真家、画家、グラフィックデザイナーである。2002年にフィリピン大学カレッジ・オブ・ファイン・アーツにて絵画を学ぶ。画家と概念芸術家として教育を受け、2000年から2008年にかけていくつかの展示に参加しながら、グラフィックデザイナーやアートディレクターとして広告会社で働き、その後、写真家として活動を始める。写真家として開かれた個展ではケソンのWest Galleryで開催された”Kidultery” (2011)、マカティのGalerie Astraで開催された”Pak!” (2014)等がある。

セルジオの作品はよく「生々しい」、「罪深い」、「不遜」等の言葉で表現される。力強さと動きを前面に出し常に思い切って状況に入り込み、流れに身を任せるのは彼の手法だ。

2017年には彼にとって初となる写真集”Pak”をDienacht Publishingより刊行。本は社会的抑圧と期待に対する集団反乱であり、多くのフィリピン人が望むうわべの裏の世界を晒す作品である。

セルジオは現在フィリピンのマニラに在住し、活動している。