「“己”の現実に対応する者は
“私”しかおらず
己の現実に対して
最善の写真行為を行う者は
私である

現実に縛られながら
現実を解いていく
百年生きても意味はない

己は霊と肉
私は写真に残存する

人は倫理の中で食べている
写真は時に禁忌を食べる

愛がそれを欲する
愛には倫理がない

愛に支配された時
写真は毒となる」

 

写真に命を懸けるのは勝手です。
誰が選んだ道でもない、自分で選んだ道です。

常に"私"と"己"、すなわち客観的"現実"と主観的"現実"の間で心身を捧げ、目の前の現実と同化し、目に見えない現実を形にすることが私の写真です。

現実は哲学です。
私は、その哲学を信じています。

私の哲学が現世、後世と誰かの心に触れ、伴走者になれたなら本望です。

私は写真でどこまで深く潜れるかに懸けているのです。

理想を追うことが作家の仕事です。

― 殿村任香

-判型
210 × 148 mm
-頁数
88頁、掲載作品: 41点
-製本
ソフトカバー
-発行年
2022
-言語
英語、日本語
-エディション
850

Artist Profile

殿村任香

1979年生まれ。大阪ビジュアルアーツ放送・映画学科卒業後、2002年より写真を撮り始める。2008年、自身の家族の日常を赤裸々に撮った「母恋 ハハ・ラブ」を赤々舎より出版。鮮烈にデビューし、世間に重い衝撃を与えた。2013年には、新宿歌舞伎町でホステスとして夜の人々と生きながら撮った「ゼィコードゥミーユカリ」をZen Foto Galleryより出版し発表した。近年の著作に「orange elephant」(2015年、Zen Foto Gallery)、「cheki」(2018年、Morel Books)、「焦がれ死に die of love」(2018年、Zen Foto Gallery)、「SHINING WOMAN #cancerbeauty」(2020年、Zen Foto Gallery)、「母恋 ハハ・ラブ」新装版 (2021年、Zen Foto Gallery)、「Toxic」(2022年、Zen Foto Gallery)、「ゼィコードゥミーユカリ」新装版(2023年、Zen Foto Gallery)がある。

また、国内のみならず海外での活躍も目覚ましく、2016年には香港のBlindspot Galleryにて開催された「Shikijo: Eroticism in Japanese Photography」展、2018年5月にはロンドンのDaiwa Foundation Japan House Galleryにて開催されたグループ展などに参加し、2019年には、がんと闘い向き合う女性のポートレートプロジェクト「SHINING WOMAN PROJECT」を立ち上げた。2022年、パリのヨーロッパ写真美術館のグループ展「Love Songs」に出品した「母恋 ハハ・ラブ」が同館のコレクションとして収蔵された。また、同年のKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭において開催された10人の女性写真家によるプログラム「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」や2024年のアルル国際写真祭アソシエイトプログラムにおいて開催された「TRANSCENDENCE」にも作品を出品している。

Gallery Exhibitions