土門拳賞受賞作家・山内道雄による、ロンドンをテーマにした新刊写真集。

1980年代初頭から森山大道に師事しフリーランス写真家として活動してきた山内は、東京を拠点に東南アジアの街へ何度も向かい、路上で人や街を長年捉えてきた。

「ロンドンの写真がないので撮ってみませんか」という禅フォトギャラリーのオーナー、マーク・ピアソンからの提案で、山内は初となるヨーロッパ撮影を決め、2018年5月から9月までの間にロンドンを撮影した。今作では、撮影当時の光と色を印刷で再現することにこだわり、今現在のロンドンを表現した。

「キングス・クロス駅のすぐ近くに大英図書館がある。そこでウィンドラッシュ展が開催されていた。1948年からしばらく続いた移民の社会現象を当時のストリートフォトを主体に展示したもので大盛況であった。しかし、今のロンドンを将来、ストリートフォトでこのような形で振り返ることは果たして可能だろうか。路上でカメラマンをみかけることは滅多になかったし、こちらの撮影を拒む人が圧倒的に多かった。ロンドンの写真がないーーマークさんの言葉が改めて深く響いてくる。」

山内道雄(『LONDON』後記より)

判型
225 × 280 mm
頁数
112頁、掲載作品90点
製本
ソフトカバー
発行年
2019
言語
英語、日本語
エディション
500

Artist Profile

山内道雄

山内道雄は1950年愛知県生まれ。早稲田大学第二文学部(現、廃部)卒業。1980年、東京写真専門学校(現、東京ビジュアルアーツ)の夜間部に入学。1982年に同校を卒業、イメージショップCAMPに参加し、写真雑誌や自主ギャラリーを中心に写真の発表を精力的に行う。1992年以降、撮影範囲を東京だけではなく上海や香港、ダッカなど、アジアの主要都市へと広げ作品を制作。主な個展に「香港1995-1997」ZEN FOTO GALLERY(東京、2016年)、「東京2009.12.」サードディストリクトギャラリー(東京、2010年)、「CALCUTTA」コニカミノルタフォトプラザ(東京、2004年)、「TOKYO、東京」銀座ニコンサロン(東京、2002年)、「東京1983.2-1986.2」オリンパスギャラリー(東京、1986年)など。主な写真集に『基隆』(グラフィカ編集室刊、2010年)、『東京2005-2007』(蒼穹舎刊、2008年)、『街』(蒼穹舎刊、1992年)、『人へ』(Place M刊、1992年)など。主な受賞に第35回土門拳賞(「DHAKA 2」にて、2015年度)、第20回林忠彦賞(「基隆」にて、2011年)など。作品の主な収蔵先に東京都写真美術館(東京)、周南市美術博物館(山口)など。

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