梁丞佑「辛朝鮮」
参加無料。梁さんと話をしてみたい若者(精神年齢)の方はメールかDMにて事前登録ください。見学のみ希望の方は登録不要です。性別国籍不問。通訳は英・韓・中のみ対応可。ボディランゲージも可。
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禅フォトギャラリーは、2025年1月10日(金)から2月22日(土)まで、梁丞佑(ヤン・スンウー)の新刊写真集『辛朝鮮』の刊行を記念し、写真展を開催いたします。故郷の韓国においても定期的に写真展を開催し、特に若者のファンから熱い支持を得ている梁が、展覧会に足を運んでくれる韓国の若者たちが日々感じている閉塞感や生きづらさに少なからず触れたことで、初期の代表作「青春吉日」以降、これまで腰を据えて撮影することがなかった韓国で彼らを撮影してみたいと思い立ち、始まったのがこの「辛朝鮮」プロジェクトです。モデル希望の韓国在住の若者を募集し、コンタクトのあった応募者の希望の撮影地に梁が赴き、彼らのポートレートを撮影するという手間のかかる手法で、のべ50人以上を撮影しました。この度の展覧会はその中かから選りすぐりのカラー作品約20点を展示いたします。 2024年9月に刊行した写真集には、被写体となった韓国の若者たちのポートレートの他に、それぞれに彼らが書き下ろした「今思うこと」と、梁丞佑によるあとがきも英語と韓国語で収録されています。また、最終日の2月22日(土)には、梁丞佑と話をしてみたい若者の方々に参加いただけるイベントを開催いたします。今回のプロジェクトは韓国の若者を対象としたものでしたが、国籍を問わず多くの若者たちと交流し、今どんなことを感じているのかを直接聞いてみたいという作家の希望により、当日お集まりいただいた方々と梁が自由に語り合うイベントになります。参加は事前登録制、精神年齢が若者の方、性別国籍は問いません。ただし、通訳が必要な場合は英語と韓国語と中国語は対応いたします。ボディーランゲージも可。見学だけの方は登録は必要ありません。
久しぶりの里帰り中、耳を疑う事故が起こったことを聞く。
ハロウィンが近い週末、若者で大混雑の梨泰院で群集雪崩が起こったという。
想像をはるかに超えた死者数にこんな事が起こるのかと呆然とした。
思い起こせば私が韓国にいる時に若者が大勢犠牲になる事故が起こったのは2度目である。
セウォル号の沈没事故の時も偶然韓国にいた。韓国ではここ数十年、文化や民族性などの背景に時代が重なり苛烈な競争社会が年々エスカレートしている。
そんなこともあり、韓国は若者の自殺率が世界の先進国の中で1位であり、出生率は世界最低である。
若者達は皮肉って自国を「ヘル朝鮮」と言ったりもする。急に若い人達に会いたくなった、話をしたいと思った。
韓国で私のことを好きで展覧会などに来てくれるのは圧倒的に若者が多い。
周囲からの評価やスペックや見た目が人の価値を決めがちな韓国で、イケメンでもなく韓国の中年ではあり得ない風貌の髭坊主のTシャツおじさんが堂々としている。
しかも取るに足らない、褒めるところもあまりないような半生を送った私が「何者か」になってるように見える。
その様が若い人たちに勇気を与えているならなんだか皮肉だが…
私の作品を見て泣いたりしてくれる子もいる。
そんな子たちの写真を撮りたいと思った。いろんな若者に会えた。
みんな一生懸命生きていた。
10年後にまた会う約束をしたところ「梁さんにまた写真を撮ってもらえるなら、これからの10年をなんとか頑張って生きてみます」と答えた若者がいた。私は驚いて5年後にもう一度撮ることにした。ここに写っている子達は私と5年後にまた会う約束をしたので大丈夫と信じているが、ここに写っていない今迷ったり悩んでたりしている若者へ。
辛いことがないなんてことは全くないが、人と比べず、自分を信じる。
目に見えないものを信じられる力を養ってほしい。
そうじゃなきゃやってられない。
そして人生を諦めなければ、そんなあなたを誰かが応援してくれるかもしれないし、そんなあなたが必要と言ってくれるかもしれない。
そんな甘くないだろうと思うなら、自分で自分に自分が求める言葉を言えばいい。
そして根拠のない自信を持って自分を支える。
私はいつもこの根拠のない自信に助けられているのでおすすめです(笑)
説教くさくなってしまったが、少しでも何かが伝われば嬉しい。タイトルだが、韓国で有名なものといえば…と考えた結果、アイドル、美容整形、化粧品、辛い食べ物が出てきた。
私が身近に感じるものは辛い物しか無かった。
そして「辛」という字に一本、棒を足すと「幸」せになるとはよく言うが、その一本を自分の中から見つけほしい。
私としてはそういう思いもある。
なので「辛朝鮮」。
辛を「からい」と読むか「つらい」と読むか、シンと言う響きから「NEW」と考えるか、なんでもいい。
見る方にお任せします。
韓国には「小さい唐辛子が辛い」、日本には「山椒は小粒でもぴりりと辛い」という諺がある。いつも人に励まされているのだから、たまには私も励ましたい。
カッコつけすぎですか(笑)
—— 梁丞佑