9月18日(水)から10月19日(土)まで、禅フォトギャラリー10周年記念展を開催いたします。禅フォトギャラリーは中国と日本の写真を専門に紹介するギャラリーとして、2009年9月18日に渋谷の地でマーク・ピアソンがオーナーとなり開廊し、2011年2月に現在の六本木に移転、以来現在までに80名を超えるアーティストによる163の展覧会を開催し、130タイトル以上の写真集を刊行してきました。そこでこの度は開廊10周年を記念し、これまで禅フォトギャラリーで刊行した全ての出版物を一堂に会する形で展示し、10年の歩みを振り返る展覧会を企画しました。開廊当初から展覧会開催と並行して、印刷物として作品を残すために制作してきた出版物を年代順に展示することで、これまで禅フォトが関わってきた作家と彼らの作品を改めて紹介するとともに、プロダクツとしての出版物が10年という時間を経ていく中でどのように発展を遂げているか俯瞰的に観ていただくまたとない機会となります。ぜひご高覧ください。

「ギャラリーを始めたさまざまな理由の根底にあるのは、もっとやらなければならないという気持ちだった。素敵な家族とキャリアを持っていること以上に、社会にポジティヴな方法で変化を起こそうとするべきである、という感覚の芽生えが私にはあった。私の経済的キャリアは素晴らしい知的挑戦であり続けたが、もし経済的成功が私個人の幸福感をむしろ減少させているとしたら、これは社会一般にも当てはまるのではないかと思った。私はJ・S・ミルとケインズの所感に同感した。物質的な繁栄が増すと生活の質を改善できるはずだ。禅フォトギャラリーは、私自身と他の人々の生活の質の向上に向け、ささやかながら私が調整役を果たすための手段となった。

そこで2009年に禅フォトギャラリーを開始した。理想は高いが経験はなく、純朴さと無知の塊だったが、熱意と学習意欲はあった。そして多くの友人や仲間のギャラリーオーナーからの善意、多くの写真家の作品を見せたいという情熱があった。アマンダ・ロも経験の浅い新卒だったが、私たちは一緒にギャラリーを始め、そして、彼女は10年の大部分を勇敢に働いてくれた。私たちはどちらも日本人ではない。そのため、必然的に間違いを犯し続ける。非常に多くの不利な点があるため、10年後の今ここにい続けているのは奇跡とも言える。そもそも出版社を始めるつもりはなく、これはあとからの思いつきだった。展覧会の後に作品の記録を残したいので、私たちは印刷でしか入手できないであろうシンプルな作品カタログを作った。 10年後の今、禅フォトギャラリーによる130の出版物がここにある。この10周年の展覧会でそれらすべてを見せるつもりだ。」

——マーク・ピアソン