フレスコ画で象徴された私達の懐かしい記憶

私が描いた絵を、他の誰かが「懐かしい」と言ってくれることが多かったことから、わたしは、記憶は個人のものだと考えられているけれど、私たちの記憶の奥底には、人類共通の記憶が眠っているかもしれない、と考えるようになりました。それは、生まれる前から持っている前世の記憶かもしれませんし、血や遺伝子の中に太古より受け継がれてきた記憶かもしれません。2008年初個展の「遠いタマシイの記憶」というタイトルは、そんな考えから生まれ、今でも私の絵の目指すところとなっています。

今回の個展では、フレスコ画を中心とした油彩など小品数点を展示します。ドイツ留学中に、フレスコ画に出会い、初めて、技法と自分のテーマの一致を実感しました。フレスコという技法は、まず自分でモルタルを作り壁を作ります。そしてその壁が乾かないうちに、ピグメント(色の粉)を水に溶かし、描いていきます。水に溶かしたピグメントが、壁に染みこみ、壁が乾くと共に定着していく様は、私達の中に染みこんでいる”記憶”を象徴しているように感じました。(壁の中に閉じ込められた色彩は、私にとって”記憶”の象徴です。)作品を通じて、私達の中の懐かしい記憶を共有できたらと思います。

ー浜口麻里奈


浜口麻里奈 Marina Hamaguchi

1988 横浜に生まれる
2011 多摩美術大学 油画科 卒業
2011/10 ドイツ デュッセルドルフ芸術アカデミー ブランデル教授の元で学ぶ
2012/10 ドレスデン芸術大学 自由芸術学科 絵画専攻 入学

Exhibitions
2008 初個展<遠いタマシイの記憶>銀座ギャラリーゴトウ
2009 企画展Roppongi α・SchonandaiMy Gallery
2010 第9回 三菱商事アート・ゲート・プログラム 入選
2011 第10回 三菱商事アート・ゲート・プログラム 入選
2011 五美術大学卒業制作展 (卒業制作・禅FOTOギャラリー買い上げ)
2012/02 個展 禅フォトギャラリー(六本木ピラミデビル)