2008年に赤々舎より刊行され、一大センセーションを巻き起こした殿村任香の衝撃的デビュー作『母恋 ハハ・ラブ』。その後絶版となっていた写真集を13年ぶりに新装版として禅フォトギャラリーより刊行。表題のモノクロのシリーズ「母恋 ハハ・ラブ」37点と、今回が初収録となる8ミリフィルムで撮影された家族のドキュメント「光は心の闇にありて」をテレシネで再撮影したカラー作品19点で構成されている。

「嘘つきは貴方も私も同じことです。
撮ってしまったものを、他人様がどう見られようとそれは勝手です。
憎しみも裏切りもすべては愛だと写真は云います。
生きてるだけで喜劇です。
私は私の撮らなきゃならないことを撮るだけです。」

母の目に不条理を見る。
己を無くすことが愛なら、
抗えない世は不条理でしかなく

それでも
命があるならば

抗うことが唯一のことであり
その原動力は愛しかない。

― 殿村任香

Artist Profile

殿村任香

1979年生まれ。大阪ビジュアルアーツ放送・映画学科卒業後、2002年より写真を撮り始める。2008年、自身の家族の日常を赤裸々に撮った「母恋 ハハ・ラブ」を赤々舎より出版。鮮烈にデビューし、世間に重い衝撃を与えた。2013年には、新宿歌舞伎町でホステスとして夜の人々と生きながら撮った「ゼィコードゥミーユカリ」をZen Foto Galleryより出版し発表した。近年の著作に「orange elephant」(2015年、Zen Foto Gallery)、「cheki」(2018年、Morel Books)、「焦がれ死に die of love」(2018年、Zen Foto Gallery)、「SHINING WOMAN #cancerbeauty」(2020年、Zen Foto Gallery)、「母恋 ハハ・ラブ」新装版 (2021年、Zen Foto Gallery)、「Toxic」(2022年、Zen Foto Gallery)、「ゼィコードゥミーユカリ」新装版(2023年、Zen Foto Gallery)がある。

また、国内のみならず海外での活躍も目覚ましく、2016年には香港のBlindspot Galleryにて開催された「Shikijo: Eroticism in Japanese Photography」展、2018年5月にはロンドンのDaiwa Foundation Japan House Galleryにて開催されたグループ展などに参加し、2019年には、がんと闘い向き合う女性のポートレートプロジェクト「SHINING WOMAN PROJECT」を立ち上げた。2022年、パリのヨーロッパ写真美術館のグループ展「Love Songs」に出品した「母恋 ハハ・ラブ」が同館のコレクションとして収蔵された。また、同年のKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭において開催された10人の女性写真家によるプログラム「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」や2024年のアルル国際写真祭アソシエイトプログラムにおいて開催された「TRANSCENDENCE」にも作品を出品している。

Gallery Exhibitions