表紙2種類

東京に居を移してから20年の月日が過ぎたが、日々変化を続けながら増殖するように拡大してゆくこの街の姿は今なお魅力的で、決して飽きることなく新鮮に映る。しかしその一方、都市機能の増大の結果として、人間が本来持っていたであろう生物としての身体性は見え難くなった。 かつて私は大地と共存して生きるチベットの遊牧民と寝食を共にし、彼等の肖像を写真に収めてきた。その彼等と比べた時、都市の利便性を享受する人々の姿は被写体として少し物足りなく感じてしまう。 だが本当にそうなのだろうか?よく目を凝らし東京の街を観察してみると、そこには都市と共存しながらたくましく生きる人々の姿が見えるはずだ。芽生えた疑問と向き合うべく、都市に生きる生物としての人間の姿を追い求める日々が始まった。それから10年が経った今、私の目に映る東京は壮大な循環を持つ一つの生態系だ。

― 作者テキストより

判型
302 x 373 x 21 mm
頁数
196頁
製本
ハードカバー、ケース
発行年
2016
エディション
1000 (black cover: 500 / silver cover: 500)

Artist Profile

有元伸也

1971年大阪府生まれ。1994年ビジュアルアーツ専門学校大阪卒業。1998年「西藏より肖像」にて第35回太陽賞を受賞し、翌年ビジュアルアーツより同名写真集を刊行した。2008年にTOTEM POLE PHOTO GALLERYを設立。2016年に『TOKYO CIRCULATION』を禅フォトギャラリーより刊行し、第26回林忠彦賞と2017年日本写真協会作家賞を受賞した。2019年には絶版となっていた『西藏より肖像』の新装版である『TIBET』を禅フォトギャラリーより刊行。その他の主な著作に『Tokyo Debugger』(2020年、禅フォトギャラリー)、『Tokyo Strut』(2022年、禅フォトギャラリー)、『ariphoto selection』No.1~10 (TOTEM POLE PHOTO GALLERY)がある。2017年にはパリのLe Plac'Art Photoで個展を開催、また2019年にはドイツのMuseum Bautzenでの3人展「Am Rand der Gesellschaft. Barlach – Springer – Arimoto」 に参加するなど国際的にも活躍している。

Gallery Exhibitions