White Noise
モノクロームの都市スナップショットを中心に作品を発表し続けている中藤毅彦の7作目の写真集。
今回は中藤が「破壊と再生を繰り返すアメーバの様に変容する怪物」と称する近年の東京をテーマに、独自の視点で切り取ったモノクロームとカラーのイメージが洪水の様に溢れ出す仕掛けがなされており、現在の東京が体現しているめくるめく混沌の世界を写真集そのもので表現している。
― 出版社説明文より
福島の原発が爆発する映像がニュースで流れるのを見た時、何かが終わったのだと感じた。ふと、ブラウン管テレビ時代、放送が終わった後に画面に映っていた砂嵐と、シャーというあのノイズが頭に浮かんだ。節電の為に灯火が控えられた薄暗く陰気な街では、放射能対策のマスクを付けた暗い顔の人々が、何かを恐れる様に当て所なく彷徨っていた。
しかし、それは終わりの始まりだった。先の見えない混迷の時代の中でも東京という怪物は、その歩みを止める事はなかった。そこには、依然として無数の肉体と営みがあり、体温を感じる古き街並と無機的な再開発のせめぎ合いがあり、東京は制御不能なエネルギーが渦巻く魔都であり続けている。
更には、2020年のオリンピックなる虚構の旗印を打ち立てて再び大きく蠢き出した。僕には、それはポジティブなエネルギーと言うよりはアナーキーで虚無的な混沌と感じられてならない。
― 中藤毅彦
$39.23
税込- 判型
- 230 x 180 mm
- 頁数
- 244頁、掲載作品159点
- 製本
- ソフトカバー
- 発行年
- 2018
- 言語
- 英語、日本語
- エディション
- 1000