写真家・建築家・現代美術家である尾形一郎・尾形優が制作する自宅の変遷を、写真とエッセイでつづった『私たちの「東京の家」』。その出版を記念して写真展を開催いたします。二人は、異文化の衝突と自然の脅威が生み出した家の姿を探して、世界の辺境を撮影し続けてきました。東京の自宅では、中国・ナミビア・メキシコなどで集められた写真イメージが、建築・インテリア・模型などに形を変えて増殖し続けています。本展で展示する作品は、中国南部の農家と商店街の写真シリーズです。約100年前に作られたこれらの家々は、中国の伝統とアメリカ文化がせめぎ合い、共産主義時代に放棄されて映画セットのような景観を見せています。本会場では入れ子状の額に写真が収納され、文化移動が人々の生活にもたらすイメージの無限連鎖が示されています。

尾形 一郎(オガタ イチロウ、旧姓:小野一郎):
京都生まれ。早稲田大学院理工学研究科建築計画修了。

尾形 優(オガタ ユウ):
東京生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。

写真家・建築家・現代美術家。主な写真集・著書に、二人が制作する自宅の変遷を写真とエッセイでつづった『私たちの「東京の家」』(羽鳥書店)、世界を巡って文化的な特異地点の家を集めた『HOUSE』(フォイル)、メキシコの過剰装飾を撮った『ウルトラバロック』(新潮社)、『DIVINE EXCESS』(CHRONICLE BOOKS)、『MEXICO:HOTELS』(アスペクト)、主な建築作品に、撮影した写真の内容を建築空間やジオラマに変換した「東京の家」、大型プリントで迷宮空間をつくった「フォトハウス」などがある。