北井一夫「抵抗 カラー補足版」出版記念展
この度、禪フォトギャラリーは北井一夫「抵抗 カラー補足版」写真集出版記念展を開催します。
銀塩フィルムと印画紙を使って今まで写真をつづけてきた。しかしここで、分身のように長く連添った銀塩フィルム、印画紙と別れる決心をした。これからは私の写真で、銀塩フィルムによる撮影と印画紙でのオリジナルプリント制作はないということである。私の新しい写真は、すべてデジタルカメラで撮影してデジタルプリントをして、作品は写真集などの印刷物だけになる。(北井一夫作品集3 『抵抗 カラー補足版 』より)
1964年、当時20歳だった北井はアメリカ原子力潜水艦横須賀寄港に反対した闘争を撮影しました。
その翌年、当時の日本社会と北井一夫自身の写真に対する秩序への”反抗”を写真に定着させようと試みた初めての写真集『北井一夫作品1 抵抗』を自費出版しました。当初はモノクロームで学生たちのデモと機動隊を、カラーで横須賀バー街にたむろする米兵たちを撮り、それらが互いに対比を繰り返すページ構成で写真集を作るつもりでした。しかし予算の関係上、全ページをモノクロームで印刷することになりました。そんな『抵抗』の出版から50年後。本書は当時のカラーネガを再びスキャニングし、補足版としてまとめたものです。北井一夫作品集1の『抵抗』、北井一夫作品集2の『過激派』(2012年禪フォトギャラリー刊)に続く最終版であり、彼にとってフィルムと決別し、デジタルという新たな再出発を決心させた一冊となります。
当時のオリジナルと同サイズで制作されたこの写真集は、1ページずつ剥がすことができるように製本されています。今回の写真展では剥がしたページ自体を額装し、作品として展示する予定です。