2009年9月18日に禅フォトギャラリーは東京・渋谷に開廊いたします。開廊にあたり、禅フォトギャラリーが目指すものは以下の3点です。

・人を強く惹きつける写真作品を紹介する
・日本と海外、特に中国との間を橋渡しする作品を紹介する
・開廊後、5年間は商業的利益を追求しない

写真に関して日本は素晴らしい伝統を有します。19世紀、先達者は欧米から写真を学び、独自の技術を培いました。そして20世紀に入り、日本はその比類なきクラフツマンシップと独自の芸術的感性を基盤に、豊かな写真文化を育みました。影響とは常に双方向的で、日本は西洋と他のアジア地域から多大な文化的影響を受けましたが、世界もまた日本芸術から大きな影響を受けました。

中国は計り知れない文化的伝統を有しますが、残念なことに19世紀と20世紀における混乱がさらなる文化的発展を妨げてしまいました。現在、急速に表現に対する規制が緩和され、中国芸術は活気を取り戻し、堰を切ったように発展しつつあります。そのような状況の中で写真は創造性を再び花開きつつある芸術分野の一つです。

20世紀中国における芸術的空白期間は、中国人アーティストの立ち位置を非常に興味深いものとしました。若い写真家たちには明確な師たる人物、そしてそもそも追随する伝統そのものが存在しません。彼らには、海外に注目するか、独自の表現手段を生み出すしか方法がありませんでした。中国現代美術が世界でも最も躍動的であることは疑いようのない事実です。

禅フォトギャラリーは2009年9月18日に東京・渋谷にオープンする新しいギャラリーです。我々が紹介しなければ、おそらく日本では目にすることができないである刺激的な写真家の作品を紹介して参ります。中国の高度成長、そして芸術の発展を背景に禅フォトギャラリーが紹介する写真作品の多くは、中国そして他のアジア諸国の写真家の作品となるでしょう。

禅フォトギャラリーは、オープニング記念として9月18日(金)から10月13日(火)まで、中国の写真家 劉錚(Liu Zheng)の新作「Dream Shock」を発表いたします。

劉錚は世界において最も力のある写真家の一人です。特に8年間に渡る中国の旅を綴った写真集『The Chinese(國人)』は国際的に高い評価を得ています。これまでアルル、ベニス、相模原、本国の北京、広州などで個展を開催してきました。

私どもは、劉錚の最新作「Dream Shock(驚夢)」を中国以外の国ではじめて、ここ日本において発表出来ることを誇りに思います。

劉錚の作品はドイツの代表的な写真家アウグスト・ザンダー(August Sander)を彷彿とさせることでしょう。この作品によって中国人の新たな一面を皆様にご紹介できる事と存じます。

劉錚はこう書いています。

「人々が避けるような禁断の箱を子供のような好奇心で開けてしまいました。人々はその存在を知ってはいても中身を認識していない箱が中国には多数あります。中身を見ようとするのは一握りの人達だけなのです。」ー劉錚『The Chinese(國人)』より。

今回の個展では、新作と合わせて、「The Chinese」で紹介された40枚のモノクローム・ポートレートを展示いたします。是非この機会にご高覧ください。

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