山内道雄 「ダッカ」
禪フォトギャラリーは10月17日[土]から10月28日[水]まで、山内道雄「ダッカ(DHAKA)」写真展を開催いたします。東京キララ社より刊行された写真集『DHAKA』(2015)からセレクトした26点のカラーとモノクロームの作品を展示いたします。
山内道雄は1950年生まれ。早稲田大学を卒業後、広告会社の仕事を経てジャーナリストの専門学校に通い、主に週刊誌の記者として勤めていました。写真に本格的に取り組み始めたのが30歳近くになってから。東京写真専門学校(現東京ビジュアルアーツ)の夜間部に入学したのがきっかけです。1982年に同校卒業と同時に自主ギャラリーCAMPに参加し、写真家森山大道氏に師事。以降、フリーランスとして東京で撮った写真を自主ギャラリー、写真雑誌などで発表し始めました。
80年代は東京を中心に、作品を発表しましたが、90年代から上海、香港、コルカタ(インド)、ワイキキ(ハワイ)、そして2000年に入り基隆(台湾)とダッカ(バングラデシュ)、主にアジアの主要都市を撮影に行くようになります。路上の人や街に関心を持つ山内は、言葉の通じない街を歩き回るたびに、自らを未知の様相に定位しようとするようです。大抵が2~3ヶ月から半年位の滞在期間で、その都度異なった街の表情や地元民との関係性を時間と共に馴染ませていきます。彼が関心を持つ主体や被写体との距離感は、見事に写真の中に反映されています。
「バングラデシュの首都ダッカ。ヒマラヤの雪解け水で国土を削られ、故郷を失った人々が集まって街は賑わっている。幼い子供までもが生活の糧を求めて働いていた。生命力溢れるダッカの姿。」
ー山内道雄
山内は2013年、ダッカを訪れたとき、持参したモノクロフィルムがなくなったので、現地で入手したネガカラーフィルムで撮影して、そのネガカラーフィルムを現地で現像しました。現地の店の人の扱いが雑なのと、雨期で湿気が高いのでよく乾燥ができず荒っぽい現像になりましたが、そのままのネガを使ってプリントしました。荒さも含めて精彩を放つダッカの活力が伝わってきます。