禅フォトギャラリーは、10月20日(土)から11月2日(金)まで、ふせなおき 写真展「名前のない写真」を開催いたします。3年ぶり、2回目の禅フォトギャラリーでの展覧会となる今回は、「写真とは何か」という根源的な問いかけを、作家が写真を撮り始めてから現在に至るまで制作してきた作品を通じて試みる壮大な企画となります。カラー写真を中心に発表いたします。

人は自らの意識、世界の中の住人であり、その中で数々の出会いを重ね、想い、感じ、考え、そして人生を終えてゆきます。

人が生かされていることを生きていると思う事と同じ様に、人は見せられていることを見ていると思っているのかもしれません。今という時の中で、肉体と精神、心と感情を持つ「わたし」が在り、その世界が人知れず限り有る命の中に存在する。

本来目に見えることのない過去を見えるものにする写真から一つの生き物を作りました。写真は表層、見えるものしか写らないと言われます。私は人の心や感情、人のたどってきた歴史や、内に抱えているものに関心があります。人の表が面(つら)で、その集積が中身です。そしてこれらは確定的ではありません。人の、「わたし」の抱える「何か」を写真で表現したいと思いました。写真と、わたしと、何者かと対話しながら生き物を生み出す作業にやりがいを感じています。

存在の消滅とその忘却をより身近なものに想う時のその感覚、物語と目的も意味もわからない写真たちが新たな役割を与えられ、蘇っていく様の2つの表現が1つの器の中で同時進行していく作品です。
この作品を通して見る人々が「何か」を感じたり、1つ1つの写真を見ることを楽しんで頂けたら幸いです。

与えられた数々の出会い、写真を教えてくれた人々、父母に感謝します。

ーふせなおき

Artist Profile

布施直樹

2006年頃写真を始め、比叡山の僧侶に出会う。

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