百々俊二、井上青龍「釜ヶ崎 - 新世界:高度成長時代下の生き方」
11月26日(金)より、百々俊二と井上青龍による写真展「釜ヶ崎 - 新世界:高度成長時代下の生き方」を開催いたします。
彼らは新世界や釜ヶ崎など天王寺の近くで知られています。この地域は荒れた地域です。日雇い労働者が仕事を探してうろつき、大阪の建築現場に仕事を求めています。彼らの生活とは、その日の労働の雇い主が見つからなければ道端で座り、酒を飲み一日が過ぎるか、運良く仕事が見つかっても仕事が終わり次第酒と女に金を使い、あっという間に稼いだ賃金はなくなってしまいます。日本の純粋な暗黒街です。
ポルノ映画劇場や酒場、売春婦やその妓夫、暴力団やギャンブラーがそこら中にいる ような地域。これが日本の陰、日本の高度経済成長の裏の顔です。百々俊二は大阪で生まれ、大阪で育ちました。大阪のビジュアルアーツ専門学校で教師、後に校長を1970代前半まで勤めました。1999年には伊奈信男賞を受領し、”新世界むかしも今も”という写真集は1986年に発行されました。故井上青龍は1931年に四国の高地県で生まれ、その後若くして大阪に移動し、1951年からは故岩宮武二に師事、彼の写真スタジオで働き続けました。1950代に釜ヶ崎地域 を撮り続けた写真の集大成 ”人間百景−釜ヶ崎”という写真集で、1961年日本写真批評家協会の新人賞を受賞しました。
1959年には森山大道氏も岩宮武二のスタジオで働きました。年上の井上は森山氏に対して多大な影響を及ぼし、両氏は井上が1988年に他界するまで近い友人でした。
この大阪を拠点とした写真家達の作品は東京を拠点とする写真家ほど注目を浴びませんでしたが、禅フォトギャラリーにて今回展示する作品は、いずれも日本の写真史の中で卓越した内容です。