山本雅紀「我が家」
禪フォトギャラリーでは、2018年最初の展覧会として1月12日より2月3日まで山本雅紀写真展「我が家」を開催いたします。昨年9月に刊行し好評を博している初写真集『我が家』(5,000円税込)より選りすぐりの作品を展示いたします。
家族を撮影した写真がまとまり、この度初めての写真集として形になったことを嬉しく思います。「なんか写真家が撮った写真みたいやね」と母に言われた写真集は現在山本家の玄関に堂々と飾られています。今はまだ他の家族アルバムのように過去を懐かしむために開かれるものではありませんが、18年間住み続けた文化住宅を引っ越す前に記録できたことは有難い巡り合わせだと感じています。
思い出を振り返ろうとしてもどこから手をつければ良いのかわからないほど長い時間の中で、それぞれが社会と関わりながら家族一緒に生活してきました。ただいまと玄関を開ければ、折り重なって眠る親やおかずを奪い合って騒ぐ兄弟妹など人間臭くて滑稽な山本家の姿があり、僕や家族を形作る価値観がそこら中に散らばっているのを感じました。シャッターを押す時は笑っていることがほとんどですが、馬鹿馬鹿しかったりくだらない、なんでもないような生活やそれを良しとする家族に僕なりに親しみや嬉しさを感じていたのだと思います。
家を移ってからまだ半年程しか経っていませんが、すでに両親の口からは「お父さんの仕事がなくなったら家賃払えないね」「そうなったら四畳半に逆戻りやね」という言葉が出ています。いずれは両親との永訣や子供の独立など家族の形は変わっていきますが、「我が家」もまたその形を変えながら続いていくと予感しています。
ー山本雅紀