禅フォトギャラリーは、6月22日(金)から7月14日(土)まで、原田直宏写真展「三つ目の部屋へ」を開催いたします。禅フォトギャラリーでの最初の個展となった前作「泳ぐ身体」で、光と影の隙間を生きる人間性の揺らぎを表現した原田は、今作で人間の内側に潜む意識にフォーカスをあて、その曖昧で揺らぎやすい明滅を、色彩際立つカラー写真作品として制作しました。「身体を動かす-意識する-無意識になる」という誰もが日常で身に付けている力の繋がりを、目に見えない1つの物語として所有していることを示唆しています。

古典的な写真技法「レイヨグラフ」とストリートフォトグラフを混ぜ合わせながら、印画紙に焼き付けた新作を是非ご覧ください。また、展覧会に合わせ、同名タイトルの写真集を刊行いたします。

 

この写真群は、閉ざされた空想の中で三つの部屋を移動していく
ある人の運動と思考の痕跡である。

三つの部屋とは以下三つの目で構成された、
奇妙で閑散とした空間のことである。

一つ目の部屋:眼
光で色彩を感知する目

二つ目の部屋:幻、印象
眼球で見たものが時間の経過で摩擦し、
意識の中を眺めている目

三つ目の部屋:不可知
まだ何も見えていない、いつか見えるかもしれないことを想像し、
無を見つめようとする目

そこは、青いと思えば、青く、赤いと思えば、赤い現在が生まれる、ガラスのような架空の部屋であった。

この作品は、現実に少し似た物語の中から、抜き出された光と感覚で描かれた絵本のような世界の一端である。

ー原田直宏

Artist Profile

原田直宏

1982年、東京生まれ。2010年、早稲田大学芸術学校空間映像科卒業。2011年に新宿と大阪の ニコンサロンで初の個展「泳ぐ身体」を開催。2014年にBankART Studio NYK(横浜)にて開催された「Group exhibition vol.2 HAKKA」に参加し、同年禅フォトギャラリーで個展「泳ぐ身体」を開催し、同名の写真集を刊行。2016年には東塔堂「REMIXING GROUND 混在する都市 ヨハネスブルグ×東京」(Andile Buka と共同企画展)に参加した。2018年にカラーの新刊写真集『三つ目の部屋へ』を禅フォトギャラリーより刊行し、禅フォトギャラリー、梅田蔦屋書店などで個展を開催。2022年にはコロナ禍で制作した「Tokyo Fishgraphs | 2020」がLibraryman Awardを受賞し、同名の写真集を刊行するなど、国内外で活躍している。

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