原田直宏「三つ目の部屋へ」
禅フォトギャラリーは、6月22日(金)から7月14日(土)まで、原田直宏写真展「三つ目の部屋へ」を開催いたします。禅フォトギャラリーでの最初の個展となった前作「泳ぐ身体」で、光と影の隙間を生きる人間性の揺らぎを表現した原田は、今作で人間の内側に潜む意識にフォーカスをあて、その曖昧で揺らぎやすい明滅を、色彩際立つカラー写真作品として制作しました。「身体を動かす-意識する-無意識になる」という誰もが日常で身に付けている力の繋がりを、目に見えない1つの物語として所有していることを示唆しています。
古典的な写真技法「レイヨグラフ」とストリートフォトグラフを混ぜ合わせながら、印画紙に焼き付けた新作を是非ご覧ください。また、展覧会に合わせ、同名タイトルの写真集を刊行いたします。
この写真群は、閉ざされた空想の中で三つの部屋を移動していく
ある人の運動と思考の痕跡である。
三つの部屋とは以下三つの目で構成された、
奇妙で閑散とした空間のことである。
一つ目の部屋:眼
光で色彩を感知する目
二つ目の部屋:幻、印象
眼球で見たものが時間の経過で摩擦し、
意識の中を眺めている目
三つ目の部屋:不可知
まだ何も見えていない、いつか見えるかもしれないことを想像し、
無を見つめようとする目
そこは、青いと思えば、青く、赤いと思えば、赤い現在が生まれる、ガラスのような架空の部屋であった。
この作品は、現実に少し似た物語の中から、抜き出された光と感覚で描かれた絵本のような世界の一端である。
ー原田直宏