禅フォトギャラリーは2026年3月27日(金)から2026年5月30日(土)まで、『石巻 1955.6-1969.5』(2023年、禅フォトギャラリー)に続く、写真家・橋本照嵩の最新発表作である『北上川1958-2005』の刊行を記念し、写真展「北上川」を開催いたします。故郷の原風景を写してきた身近な石巻から範囲を広げ、岩手町の御堂観音境内にある北上川の源泉をはじめ、源流域を記録したカラーとモノクロ写真より厳選した作品に加え、写真集未収録の作品も展示いたします。

 また、北上川流域に根ざした文化「チャグチャグ馬コ」の盛況を記録した写真も収められております。毎年6月、華やかに飾り付けられた60頭程の馬が滝沢市・鬼越蒼前神社を出発し、盛岡八幡宮までの約14キロメートルの道のりを練り歩くこの祭りは、馬に取り付けられた無数の鈴が歩くたびに「チャグチャグ」と涼やかに鳴り響くことから、その名がついたと言われています。

 橋本が子供の頃から泳いで親しんだ北上川流域。その景色は、気付かぬうちに、しかし確実に移ろいゆく日々の中で変わり続けています。「気付くこと、それが写真だ」ーー橋本はそう語ります。

 会期中の5月16日(土)には、禅フォトギャラリーディレクターのマーク・ピアソンが聞き手を務め、作家とトークイベントを開催いたします。橋本は「写真には三つの秘密がある」を語りますので、是非お運びください。

店先を通りすぎるのは誰?
夢はいつもリヤカーに乗って通りすぎた
茹でられて並ぶ秋のクリ
船に乗る男を見送る女の叫び声は
北上川の水音に似て あああ あああ なのだ

むかしもいまも
川は山の夕陽に照らされると
枯れ草の匂いと水音だけになる
観音堂の境内の奥
一筋の水となり すべての始まりの糸になる

―佐々木幹郎(『北上川—橋本照嵩のためのメモランダム』より)

Artist Profile

橋本照嵩

1939年、宮城県石巻市生まれ。1963年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1974年、写真集『瞽女』出版(のら社)にて日本写真協会新人賞受賞。同年、荒木経惟、中平卓馬、深瀬昌久、森山大道らとともに「15人の写真展」(東京国立近代美術館)へ参加し「瞽女」を出品。作品は国立近代美術館へ収蔵された。1979年から1981年には韓国を精力的に訪れ李朝民画を撮影した。2011年に被災した故郷の石巻へ定期的に帰郷し撮影を続けている。近年は代表作の「瞽女」シリーズや石巻を題材にした作品を中心に国内外を問わず多数の個展を開催しており、主なものに禅フォトギャラリー(東京、2023年)、池田記念美術館(新潟、2022年)、AN-A Fundación(バルセロナ、2023年)などがある。主な出版物に、『北上川』(2005年、春風社)、『石巻-2011.3.27〜2014.5.29』(2014年、春風社)、『西山温泉』(2014年、禅フォトギャラリー)、『新版 北上川』(2015年、春風社)、『叢』(2016年、禅フォトギャラリー)、『山谷 1968.8.1-8.20』(2017年、禅フォトギャラリー)、『瞽女アサヒグラフ復刻版』(2019年、禅フォトギャラリー)、『瞽女』(完全版、2021年、禅フォトギャラリー)、『石巻 1955.6-1969.5』(2023年、禅フォトギャラリー)などがある。

Publications & Prints