禅フォトギャラリーは、3月8日(金)から30日(土)まで、薄井一議写真展「Showa96」を開催いたします。2011年の「Showa88/昭和88年」、2015年の「Showa92」に続く約4年ぶりとなる本展では、Showa3部作の完結編となる新作カラー作品を発表します。

“昭和”が付くからと言って、別だんノスタルジーを追い求めている訳では全くない。
僕は、この言葉を“生き抜く力”の象徴と考える。昭和がまだ別の時空で続いていたらどんな世界か、
そんなファンタジーを追い求め、平成の終わりに第三弾が完成した。
僕は人間が生き抜くが故に生まれる矛盾やほつれ、その如何わしさに美学を感じる。
自分の信念を貫き、時にはミスフィッツとされながらも生き抜く人々。
嗅覚を頼りに、時にはその本人を撮影し、時にはその場所から感じ取りストーリーを構築させる。
この行為は何不自由なく食べて行ける 平に成り立ったこの世の中で、先人に感謝を感じながらも、
どこか満たされない僕自身の矛盾した精神の穴埋め行為なのかもしれない。
時代への服従なのか、勝手に自分が作り上げたモノへの服従なのか。一つ確かなことは、今年平成が終わる。
でも昭和はまだ終わらない。

ー薄井一議

Artist Profile

薄井一議

1975年東京生まれ。1998年東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。東京工芸大学在学中に写真家・細江英公のもとで写真の基礎を学び、初期シリーズ「マカロニキリシタン」などには細江作品の影響が見られる。主な個展に「マカロニキリシタン」(1996年コニカミノルタプラザ)、「Showa88/昭和88年」(2011年禅フォトギャラリー、2013年写大ギャラリー)、「Showa92」(2015年禅フォトギャラリー)、「Showa88-95」(2018年KKAG)、「Showa96」(2019年禅フォトギャラリー)がある。1997年にサンマリノインターナショナルフォトミーティング、2003年に東京都写真美術館で開催された「20代写真家の挑戦 IN&OUT」展、2016年にgalleri BALDER(オスロ)で開催された「A Vision of Japan」展、2022年にTEO Center for Culture, Art and Content(ヘルツリーヤ)で開催された「Inside Out: Through Japanese and Israeli Lenses」展、2024年にSchaefer International Gallery, Maui Arts & Cultural Center(ハワイ)にて開催された「FOCUS」展など、国内外のグループ展にも積極的に参加している。主な出版物に『マカロニキリシタン』(2006年美術出版社)、『Showa88/昭和88年』(2011年禅フォトギャラリー)、『Showa92』(2015年禅フォトギャラリー)、『Showa96』(2019年禅フォトギャラリー)、などがある。また2015年には映画「ダライ・ラマ14世」を企画・撮影した。清里フォトミュージアム (山梨)、東京工芸大学(東京)、株式会社アマナ(東京)に作品が収蔵されている。

Publications & Prints