この度、禪フォトギャラリーでは写真家・殿村任香の2度目となる個展「orange elephant」を開催いたします。

本作「orange elephant」は、誰もが持つ私的な"出来事"を、一編の叙情詩のごとく写真で紡がれております。これらの作品群は、日常の"不確かさ"の中に生動し、その張り詰めた呼吸が時折"確かさ"に触れた時、色は夜を越え、日の光となる。その流動する光は、息を呑むほどに美しい。

日常の大半は鬱屈と共にある。
ある種の許しを願い、人は生きているのかもしれない。
死を待ちながら。

希望。

そこに存在するのは希望しかない。

彼女の美しき切実な願いと希望の光をどうぞご覧下さい。

本展示に併せて写真集『orange elephant』をZen Foto Galleryより刊行致しました。アートディレクションは中島英樹氏。また、殿村任香「orange elephant」展は、6月2日よりギャラリーアバウトアート(ポンテベドラ、スペイン)に巡回する予定です。

Artist Profile

殿村任香

1979年生まれ。大阪ビジュアルアーツ放送・映画学科卒業後、2002年より写真を撮り始める。2008年、自身の家族の日常を赤裸々に撮った「母恋 ハハ・ラブ」を赤々舎より出版。鮮烈にデビューし、世間に重い衝撃を与えた。2013年には、新宿歌舞伎町でホステスとして夜の人々と生きながら撮った「ゼィコードゥミーユカリ」をZen Foto Galleryより出版し発表した。近年の著作に「orange elephant」(2015年、Zen Foto Gallery)、「cheki」(2018年、Morel Books)、「焦がれ死に die of love」(2018年、Zen Foto Gallery)、「SHINING WOMAN #cancerbeauty」(2020年、Zen Foto Gallery)、「母恋 ハハ・ラブ」新装版 (2021年、Zen Foto Gallery)、「Toxic」(2022年、Zen Foto Gallery)がある。また、国内のみならず海外での活躍も目覚ましく、2016年には香港のBlindspot Galleryにて開催された「Shikijo: eroticism in Japanese photography」展、2018年5月にはロンドンのDaiwa Foundation Japan House Galleryにて開催されたグループ展などに参加。2022年、パリのヨーロッパ写真美術館のグループ展「Love Songs」に出品した「母恋 ハハ・ラブ」が同館のコレクションとして収蔵された。また、同年のKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭において開催された10人の女性写真家によるプログラム「10/10 現代日本女性写真家たちの祝祭」にも作品を出品している。

Publications & Prints